治療コラム

痔瘻(痔ろう:あな痔)とは?症状・原因・手術法等を解説

痔瘻(痔ろう:あな痔)とは?症状・原因・手術法等を解説

肛門周辺に起こる痔には、「痔核(いぼ痔)」「裂肛(切れ痔)」「痔ろう(あな痔)」の3つです。 それぞれ症状が異なり、原因や治療法も違います。 この記事では、痔ろう(あな痔)の症状・原因・手術法などを詳しく解説いたします。 症状が強く出た場合の応急処置にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

痔瘻(痔ろう)の症状

痔ろうは、直腸と肛門周囲の皮膚との間に、膿を排出するトンネルができる状態です。 肛門の周囲に膿がたまる肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)の症状が進み、繰り返すことにより、痔ろうになります。

痔ろうだけでは痛みはでません。しこりが触れたり、分泌物(ぶんぴつぶつ)が出たり、かゆみを感じたりします。

次のように痛みや熱が出るのは、肛門周囲膿瘍の症状です。

  1. 排便の有無にかかわらず、肛門周囲が腫れて痛みがある
  2. 熱が出る
  3. 市販薬(坐薬・飲み薬など)を使用しても、症状が治らない

痔瘻の原因

痔ろうになる原因には、以下のものがあります。

  1. 肛門周囲膿瘍
  2. 切れ痔
  3. クローン病
  4. 結核
  5. HIV感染
  6. 膿皮症(のうひしょう) など

このうち痔ろうになる頻度が最も高いのは、肛門周囲膿瘍です。

肛門周囲膿瘍は、肛門腺(※)に便に含まれる大腸菌などの細菌が入り込み、感染して化膿することで発症します。 小さなくぼみの中にあるので、普通便から入ることはめったにありませんが、下痢が続くと入りやすくなります。 肛門腺の付近に傷があったり、体の抵抗力が弱っていたりすると、細菌に感染しやすいです。 (※)肛門腺:肛門と直腸の境目にある、肛門陰窩(こうもんいんか)と呼ばれる小さなくぼみの中にある腺

痔瘻の応急処置

痔ろうで応急処置が必要な場合は、肛門周囲膿瘍からの炎症が原因であることが多いです。 そのため症状を和らげるには、うつ伏せや横を向いて寝るなど楽な姿勢をとり、氷のうなどで患部を冷やしてください。 患部が化膿しているので、温めるのは逆効果になります。

肛門の周りが膿で汚れている場合には、入浴もしくは座浴にて清潔にするのも大切です。 洗うときはぬるま湯でやさしく洗うようにし、石けんや消毒綿などは使用しないでください。

痔瘻は手術治療が必要な場合がある

痔ろうは生活習慣や食生活を見直したり、治療薬を使用したりする治療では、あまり効果がありません。 症状が進行して、複雑なタイプになる前に、切開して溜まった膿を出す治療が必要です。 しっかりと膿を出し切り、再感染しないように抗菌薬を使用します。

一度できた痔ろうは、膿がでて傷口が塞がっても、トンネル自体はなくなりません。 自然治癒することはあまりなく、再発の可能性もあるため、手術治療にて根治(こんち:完全に治す)をめざします。

痔瘻の種類と手術法

痔ろうの手術は、できた場所により手術法が変わります。 肛門周囲の皮下には、内肛門括約筋・外肛門括約筋・肛門挙筋の3種類の筋肉が存在しており、トンネルが到達している位置により、分類が決まっています(隈越分類)。

Ⅰ 皮下または粘膜下痔瘻 L:皮下痔瘻 H:粘膜下痔瘻
Ⅱ 内外括約筋間痔瘻 L:低位筋間痔瘻 H:高位筋間痔瘻
Ⅲ 肛門挙筋下痔瘻 U:片側のもの B:両側のもの
Ⅳ 肛門挙筋上痔瘻

  1. Ⅰ.粘膜または皮膚と内括約筋との間の腔
  2. Ⅱ.内・外括約筋の間の腔
  3. Ⅲ.肛門挙筋下腔
  4. Ⅳ.肛門挙筋上腔
  5. H.歯状線より上方
  6. L.歯状線より下方

種類①低位筋間痔瘻

低位筋間痔瘻(ていいきんかんじろう)は内括約筋と外括約筋の間に位置し、奥に伸びている痔ろうです。 約60%はこのタイプの痔ろうになります。

低位筋間痔瘻の手術法

  1. トンネルが後方にある場合は「切開開放術」

切開開放術:トンネルの手前側を開放し、トンネルの底部を残す術式

  1. トンネルが前方や側方にある場合は「括約筋温存手術」もしくは「シートン法」

括約筋温存手術:肛門括約筋を温存させる術式 シートン法:トンネルにシートンを通し少しずつ縛り、時間をかけて開放していく術式。シートンの材質はナイロン糸やゴム糸など

種類②高位筋間痔瘻

高位筋間痔瘻(こういきんかんじろう)は内括約筋と外括約筋の間に位置し、上に伸びている痔ろうです。 約10%弱はこのタイプの痔ろうになります。

高位筋間痔瘻の手術法

  1. 括約筋温存手術

種類③坐骨直腸窩痔瘻

坐骨直腸窩痔瘻(ざこつちょくちょうじろう)は外括約筋を越えて肛門挙筋の下まで伸びる痔ろうです。 肛門の後方を複雑に伸びていきます。 約30%はこのタイプの痔ろうになります。

坐骨直腸窩痔瘻の手術法

  1. 肛門保護手術

まとめ

痔ろうとは、直腸と肛門周囲の皮膚との間に、膿を排出するトンネルができる症状です。 肛門周囲膿瘍を繰り返し、症状が進行することによって起こる疾患になります。

痔ろうそのものに痛みはなく、しこりが触れたり、分泌物が出たり、かゆみを感じたりするのが主な症状です。 痛みが出たり、熱が出たりするのは、肛門周囲膿瘍からの炎症が原因になります。 そのため、痛みなどが出たときの応急処置は、楽な姿勢をとったあとに患部を冷やしてください。

飲み薬や塗り薬で治ることはなく、切開して溜まった膿を出す治療が必要になります。 一度できた痔ろうは、自然になくなることはありません。 手術治療により、根治をめざします。

痔ろうは放っておくと進行していく疾患のため、早期発見・早期治療が重要になります。 肛門周囲に違和感がありましたら、早めに病院を受診してください。

当院の大腸内視鏡検査

監修

医療法人社団晃輝会
理事長 医学博士 大堀 晃裕

日本大腸肛門病学会 専門医・指導医 https://www.coloproctology.gr.jp/

大学病院と総合病院に長年従事し、肛門病疾患を中心に大腸肛門病に対して多数の検査実績、手術への豊富な執刀経験を持ちます。
日本大腸肛門病学会の中でも数少ない専門医・指導医として、治療だけでなく技術指導を行なっています。
現在医療法人社団晃輝会の理事長として大腸肛門病・消化器内科の専門クリニックを2院展開し、胃・大腸内視鏡検査を年間2,700件以上、手術も年間500件あまり手掛けています。

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※発熱、風邪症状の方はネット予約は出来ません。お電話にてお問い合わせいただきますようお願いいたします。
※緊急の場合は、火曜でも大腸内視鏡検査を行います。
※土曜日午前:NTT東日本関東病院の内視鏡部長 大圃先生のグループによる大腸内視鏡検査を行っております。
※土曜日:東京山手メディカルセンターの医師による消化器内科・クローン病・潰瘍性大腸炎の専門外来を行っております。
●女性医師による診療
月・火・木・金曜午後は女性医師による診察を行っております。
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