治療コラム

切れ痔(裂肛)とは?症状・原因・治療・手術方法を解説

切れ痔(裂肛)とは?症状・原因・治療・手術方法を解説

切れ痔(裂肛)とは?症状・原因・治療・手術方法を解説

切れ痔(裂肛:れっこう)は20〜50歳代の女性に多い痔です。 排便時の痛みと出血を認めるのが特徴で、痔の約25%が切れ痔と報告されています。 この記事では、切れ痔の症状から原因・治療・手術方法まで、全体的に解説いたします。 切れ痔の症状でどうしたら良いか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

切れ痔の主な症状

切れ痔とは、肛門の出口あたりの皮膚が硬い便の通過や下痢便の強い勢いなどで限界以上に伸ばされ、裂けたり切れたりする状態のことです。

排便時に感じる痛みと出血がおもな症状になります。 出血はあざやかな赤い色で、出血量もトイレットペーパーや便に付く程度です。 場合により排便後も痛みが続くことや便器が真っ赤になることもあります。

切れ痔はこの他に、繰り返し切れることで深い潰瘍状の傷ができる慢性裂肛、いぼ痔が脱出するときに傷ができる脱出性裂肛などがあります。

切れ痔の原因

便秘などで硬くなった便を無理に出そうとする刺激や、下痢便の強い勢いによって肛門出口付近の皮膚が切れるのがおもな原因です。 また、肛門周囲の血流が悪くなることで切れ痔が発症しやすくなると考えられています。

他にも、下痢をくり返すことによる炎症がきっかけでできたり、いぼ痔やポリープが引っ張られてできる傷、クローン病などの全身性疾患の症状としてできることもあります。

切れ痔の分類

切れ痔は発症原因により、急性期と慢性期に分類されます。

分類①急性期

急性期の切れ痔は、硬い便により肛門上皮が過剰に伸ばされたことによって起こります。 おもな症状は、排便時に感じる痛みと、紙に着く程度の出血です。 排便後も痛みが続く場合や、便器に付くほどに出血することもあります。

分類②慢性期

くり返す切れ痔により、次の3つの症状が起こります。

  1. 潰瘍(かいよう)状の深い傷
  2. 内括約筋の硬化や痙攣(けいれん)による肛門の狭窄
  3. 傷の肛門側にはイボ(見張りイボ)、口側にはポリープができる

切れ痔の治療

切れ痔の治療には、便通や生活習慣の改善と投薬などを行う保存的治療法と、慢性期の肛門狭窄の改善やイボ、ポリープなどを切除する外科的手術があります。 ほとんどが保存的治療法で軽快し、手術する割合は1割程度です。 それぞれ解説いたします。

治療①急性期

急性期の切れ痔は、塗り薬や内服薬などを用いた保存的治療法です。 傷が治ったあとも再発しないように、次のことを同時に行います。

  1. 便通の改善

・水分と食物繊維を十分に摂取し、正しい排便習慣を身につける ・必要に応じて、整腸剤や緩下剤を用いて便通をコントロールする

  1. 肛門の衛生や保温

・排便後はトイレットペーパーで強く擦らない ・温水洗浄便座などを活用し、清潔に保つ(10秒程度) ・入浴や坐浴で清潔を保ちつつ、肛門周囲を温める 温める効果は2つあり、括約筋の弛緩による痛みを和らげる効果と、血行の促進に よる傷の回復を早める効果です。

  1. 塗り薬・内服薬の使用

局所麻酔薬やステロイド含有の塗り薬や座薬を使用する。 必要に応じて、鎮痛薬や抗炎症薬の内服をあわせて使う。

治療②慢性期

慢性期の治療は、保存的治療法に加えて外科的治療を行う場合もあります。 とくに括約筋の強い緊張による肛門狭窄や、傷の周囲にできた見張りイボやポリープに対しては、切開術や切除術などを行います。

切れ痔の手術方法

切れ痔の外科的手術は、肛門狭窄や見張りイボ、肛門ポリープに対して行います。 代表的な手術方法は次の3種類です。

手術①用指肛門拡張術

軽度の肛門狭窄に対して行う手術です。 局所麻酔を行い、肛門に指を入れて拡張させます。 括約筋の緊張を緩める処置で、切開は行いません。 負担がなく簡単に行える利点はありますが、再発率の高さが欠点です。

手術②側方内括約筋切開術(LSIS)

肛門括約筋の機能的な狭窄に対して行う手術です。 狭くなった内括約筋の側方を浅く切開します。 見張りイボや肛門ポリープ、潰瘍がなく、肛門の拡張が目的の場合には、有効な手術方法です。

手術③肛門周辺皮膚切除術と肛門ポリープ切除

潰瘍と見張りイボや肛門ポリープの治療に対して行う手術です。 潰瘍部分とイボやポリープを切除します。

まとめ

切れ痔は、肛門の皮膚が硬い便の通過や下痢便の強い勢いなどで限界以上に伸ばされ、裂けたり切れたりする状態のことです。 排便時に感じる痛みと出血がおもな症状になります。

急性期の場合は保存的治療法で軽快し、慢性化して手術する割合は1割程度です。 切れ痔は急性期であれば短期間で治るため、早期治療が重要になります。 また、痛みや出血が続く場合は、違う病気の可能性も考えられるため、自己判断せず病院を受診してください。

当院の大腸内視鏡検査

監修

医療法人社団晃輝会
理事長 医学博士 大堀 晃裕

日本大腸肛門病学会 専門医・指導医 https://www.coloproctology.gr.jp/

大学病院と総合病院に長年従事し、肛門病疾患を中心に大腸肛門病に対して多数の検査実績、手術への豊富な執刀経験を持ちます。
日本大腸肛門病学会の中でも数少ない専門医・指導医として、治療だけでなく技術指導を行なっています。
現在医療法人社団晃輝会の理事長として大腸肛門病・消化器内科の専門クリニックを2院展開し、胃・大腸内視鏡検査を年間2,700件以上、手術も年間500件あまり手掛けています。

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※土曜日午前:NTT東日本関東病院の内視鏡部長 大圃先生のグループによる大腸内視鏡検査を行っております。
※土曜日:東京山手メディカルセンターの医師による消化器内科・クローン病・潰瘍性大腸炎の専門外来を行っております。
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